この作品は2004年に発表した「花紅」のリメイク作品である。
「秩序がなくともピースは成り立つ」の肖像群が「無限の透明」の空間から出て、この作品ははじまる。他の作品の境界を越境し、時には他の作品に影響を与えながら、歩き続ける。
匿名で多様な肖像群が歩き続ける。つまり、作品は移動し続けることになる。来場者が彼らに触れると、彼らは反応し、時には方向を変え進んでいく道を変える。
人々も、何かを選び、そして何かを捨て、彼らを追いかけていきながら鑑賞する。
禅の言葉に「歩歩是道場(ほほこれどうじょう)」という言葉がある。作品の登場人物は、いろいろな出来事に対峙しながら、終わりなく歩き続ける。来場者もまた、作品世界の登場人物たちを追いかけ歩くことによって共に対峙していくだろう。もしくは、次々に歩いて来る各々の登場人物と対峙していくことになるだろう。
作品はコンピュータプログラムによってリアルタイムで描かれ続けている。あらかじめ記録された映像を再生しているわけではない。全体として、以前の状態が複製されることなく、変容し続ける。今この瞬間の絵は二度と見ることができない。